はじめに
今回は、IT導入補助金、特に2022年度に新しく追加されたデジタル化基盤導入類型、電子取引のデータ保存義務化に伴う電子帳簿保存法への対応や、2023年から始まるインボイス制度への対応などに対して詳しく解説します。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金です。
これまでの通常枠(A・B類型)に加え、令和3年度補正予算にてデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤>導入類型・複数社連携IT導入類型)、令和元年度補正予算にてセキュリティ対策推進枠も追加されました。
事業類型
通常枠(A・B類型)
自社の置かれた環境から強み・弱みを認識、分析し、把握した経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図っていただくことを目的としています。
セキュリティ対策推進枠
中小企業・小規模事業者等のみなさまがサイバーインシデントが原因で事業継続が困難となる事態を回避するとともに、サイバー攻撃被害が供給制約や価格高騰を潜在的に引き起こすリスクや生産性向上を阻害するリスクを低減していただく事を目的としています。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
中小企業・小規模事業者等のみなさまが導入する会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの経費の一部を補助することで、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進することを目的としています。
特に、22年度におけるIT導入補助金の更なるポイントとして、23年10月から始まる「インボイス制度」への対応が挙げられます。
インボイス制度とは
※インボイス制度とは、適用税率やインボイス制度の登録番号など、必要となる要件を記載した適格請求書を交付・保存する制度です。
インボイス制度へ対応しているソフトウェアの例
インボイス制度に対応した会計ソフトウェア
インボイス制度において仕入税額控除の要件となる次の事項を記載した帳簿及び請求書等の 保存が可能となる。又は電磁的記録による保存が可能となる。
① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 対価の額
インボイス制度に対応した受発注ソフトウェア
取引の相手方の求めに応じて、次の事項を記載した適格請求書を交付または交付した適格請 求書の写しの保存が可能である。又は電磁的記録による保存が可能である。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤ 消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称(適格簡易請求書の場合は不要)
インボイス制度に対応した決済ソフトウェア
小売業など不特定かつ多数の者に次の事項を記載した適格簡易請求書(レシート)の交付が 可能である。(POSシステム等)
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤ 消費税額等
インボイス制度に対応したECサイト制作
WEBサイト上で商品を販売する電子商取引などで発行する次の事項を記載した適格請求書 (請求書・納品書・仕入明細書・領収書等)の交付が可能である。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤ 消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称(適格簡易請求書の場合は不要)
補助率の違い
令和3年度のIT導入補助金では、デジタル化基盤導入枠として「デジタル化基盤導入類型」及び「複数社連携IT導入類型」の2類型を設け、新型コロナウイ ルス感染症の影響を受けつつも、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援するとともに、 インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠(A 類 型・B 類型)」よりもデジタル化基盤導入枠は補助率を引き上げて優先的に支援しています。
補助率・補助額
ハードウェアを購入する場合(デジタル化基盤導入類型)
スケジュール
通常枠(A・B類型)
交付申請期間 2022年3月31日(木)受付開始~終了時期は後日案内予定
1次締切分:締切日 5月16日(月)17:00 終了
2次締切分:締切日 6月13日(月)17:00 終了
3次締切分:締切日 7月11日(月)17:00 終了
4次締切分:締切日 8月8日(月)17:00 予定
5次締切分:締切日 9月5日(月)17:00 予定
6次締切分:締切日 10月3日(月)17:00 予定
セキュリティ対策推進枠
交付申請期間 2022年8月9日(火)受付開始(予定)~終了時期は後日案内予定
1次締切分:締切日 9月05日(月)17:00 予定
2次締切分:締切日 10月03日(月)17:00 予定
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
交付申請期間 2022年3月31日(木)受付開始~終了時期は後日案内予定
1次締切分:締切日 4月20日(水)17:00 終了
2次締切分:締切日 5月16日(月)17:00 終了
3次締切分:締切日 5月30日(月)17:00 終了
4次締切分:締切日 6月13日(月)17:00 終了
5次締切分:締切日 6月27日(月)17:00 終了
6次締切分:締切日 7月11日(月)17:00 終了
7次締切分:締切日 7月25日(月)17:00 終了
8次締切分:締切日 8月08日(月)17:00 予定
9次締切分:締切日 8月22日(月)17:00 予定
10次締切分:締切日 9月05日(月)17:00 予定
11次締切分:締切日 9月20日(月)17:00 予定
12次締切分:締切日 10月3日(月)17:00 予定
申請枠の詳細
通常枠
セキュリティ対策推進枠
デジタル化基盤導入類型
複数社連携IT導入類型
採択率・採択結果
採択結果
2022年7月28日更新
採択率
2022年7月28日更新
このように、通常枠とデジタル化基盤導入類型とでは採択に大きな差があります。
加点要項
採択率をあげるポイントとして、加点項目があります。
「生産性向上や働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるか」
「クラウド導入に取り組んでいるか」
「インボイス制度の導入に取り組んでいるか」
「国の推進するセキュリティサービスを選定しているか」
「賃上げに取り組んでいるか」
などが、IT導入補助金の加点項目にかかる主な審査事項になります。これらは必須項目ではありませんが、実施すると採択されやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。インボイス制度が導入されるのは、2023年10月1日とまだ遠く感じますが、2023年10月1日から登録を受けるためには、2023年3月31日までに登録申請書を税務署に提出する必要があります。
これらをうまく活用しIT導入を進めていきましょう。
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