はじめに
今回は、事業再構築補助金の第7次からの変更点をご紹介します。
この事業再構築補助金は毎回少しずつ内容が変更されています。そして今回から大きく変更した点もありますので注意して申請することが必要です。
事業再構築補助金の概要は前回記載していますので、こちらをご覧ください。
前回との変更点
原油価格・物価高騰等緊急対策枠の新設
前回の事業再構築補助金には、5つの中から申請枠を選択して申請するものでしたが、今回の第7次から6つ目の新枠ができました。
これは、令和4年度の予備費で予算が確保された新枠で「新型コロナの影響」を受け、なおかつウクライナ情勢や原油高・物価高等の「経済環境の変化の影響」を大きく受けている企業を支援する枠となっています。
その特徴は以下の通りです。
特徴①特別枠だが補助率・補助金額が高い
まず1つ目に、この新設枠は、特別枠の中でも補助金額が高いという点が挙げられます。
既にある特別枠の「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」は、補助金額が低く設定されていて最大1500万円の補助額ですが、今回新設された「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は最大4000万円の補助上限額が設定されています。
また、通常枠の補助率は2/3と補助金の中では高く設定されていますが、この「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の補助率は更に高い3/4と高く設定されているというのも大きなポイントです。
従って、既存の特別枠の欠点であった補助額が低いという点をカバーできる申請枠だと言えるでしょう。
新設「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の補助額・補助率
既存の特別枠「回復・再生応援枠」の補助額・補助率
特徴②売上減少要件の違い
通常枠等グリーン成長枠以外の申請枠では、
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
という要件がありましたが、
「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」では
足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022 年 1 月以降の連続する 6 か月間のうち、任意の 3 か月の合計売上高が、2019 年~2021 年の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等(※1)。また、コロナによって影響を受けていること。
と、売上減少要件に少し違いがあり、コロナの影響に加え、原油価格や物価高騰により直近の売上に影響を受けた事業者が対象となります。
また、付加価値額の減少でも対象となるため、売上は下がっていない場合でも原材料の高騰等で営業利益が減少してしまった場合でも該当する可能性があります。
特徴③通常枠より採択率は高いと予想される
第5回公募の主な採択率は以下の通りです。
この結果からも、特別枠である「緊急事態宣言特別枠」と「最低賃金枠」は通常枠に比べ高い採択率となっています。
従って、今回から新たに設置された「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」の採択率も高いのではないかと予想されます。
それに加え、これら特別枠は不採択になった場合でも、加点措置のうえ、通常枠で再審査される制度になっています。
これら2点を踏まえ、該当する事業者はこの新枠である「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」に申請することをおすすめします。
注意点
先ほど特別枠では、不採択になった場合には、通常枠で再審査されると述べましたが、この「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」は、自動的に再審査は行われません。
しかし、「コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類(2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していることを示す書類)」を申請時に添付することで、
他の特別枠と同様に通常枠で採択されるチャンスがありますので、該当する方は合わせて提出しましょう。
加点要件
第6次から存在していた加点要件として、「原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響により2022年1月以降のいずれかの月の売上高(又は付加価値額)が、2019年~2021年同月と比較して10%(付加価値額の場合15%)以上減少していること」がありました。
今回新枠の設立で、加点科目から削除されるのではないかと予想されましたが、第7次公募も加点要件として残っていますので、該当する事業者はこちらも必ず提出しましょう。
添付書類としては、この環境変化の影響の宣誓書が必要ですので、事業再構築補助金のHPからダウンロードし、該当する方は記入し申請時に添付してください。
原油価格・物価高騰等緊急対策枠の対象事例
【例1:資源高による影響】
・フライ菓子などの製造販売業者。コロナの影響により実店舗への客足が減少していることに加え、原材料となる小麦粉、油などの価格が高騰する一方、商品単価の値下げが難しく、売上・利益率が減少。既存の加工技術を活かし、新たにドライフルーツの製品を製造する機器を導入。原油価格・物価高騰の影響を受ける体制から脱却し、新たな市場の開拓を図る。
【例2:直接的・間接的な輸出入の影響】
・明太子を製造・販売する事業者。コロナの影響により飲食店向けの販売量が減少していることに加え、原料であるタラの卵はロシア産が多くを占めており、製造量を縮小せざるを得ず、売上が減少。既存の加工技術を活かし、ねり天ぷらや出汁など国内産の水産物を用いた新たな製品を製造する工場を新設。輸出入の影響を受ける体制から脱却するとともに、既存の販売経路に加え、EC販売も駆使し、感染症等の危機に強い事業として事業の展開を図る。
【例3:海外送金や現地駐在などの諸問題による影響】
・機械部品の商社。コロナの影響により部品の調達に時間を要するなどの影響を受けていることに加え、ロシア企業と取引しているが、金融取引の制約によりロシアからの送金が止まってしまっており、ロシア企業からの代金を回収できない限り、コンテナを引き渡すことができず、売上が立たない厳しい状況。機械商社のノウハウを活かし、機械部品専用のフルフィルメントサービス(倉庫業)を行うためのシステムを構築。サービスの提供にあたっては、非対面での営業活動を徹底するとともに、取扱い商材のラインナップを大幅に増やし顧客層を拡大することでリスク分散を進めるなど、感染症等の危機の影響を最小限に抑えられるよう工夫しつつ、ロシア企業との関係に依存しない収入源の確保に取り組む。
まとめ
いかがでしょうか。今回は7次公募の主要な変更点について解説しました。
現在コロナ禍に加え、ウクライナ情勢の緊迫化等による原油や物価高騰等、中小企業を取り巻く環境は悪化しています。
みなさんも、本補助金を活用して、環境変化に左右されない新たな事業基盤を構築しませんか。
なお、本補助金は、認定支援機関と共同で作成する必要がございます。
認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)です。
ちなみに、認定支援機関別の応募・採択状況は以下の通りです。
弊社は上記のうち、民間コンサルティング会社に該当しますが、中小企業診断士も多数在籍し91%という高い採択率を維持しております。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。