はじめに
事業再構築補助金は令和3年3月26日に始まり、現在は7回目の公募が開始されています。
本補助金は、コロナ禍における中小企業の事業再構築を支援するもので、建物の改修費に利用できることや広告宣伝など幅広い経費に活用できることが特徴です。
また、この補助金の予算規模は、令和2年度補正予算で1兆円超え、令和3年度は6123億円確保されており超特大規模ですので、コロナ禍における中小企業の支援に注力していることが伺えます。
そのうえ、第7回目の今回から新たに、『原油価格・物価高騰」に対応した緊急対策枠の創設、審査項目(再構築点)の見直しと追加が行われています。これは、コロナ禍の影響に加え、原油価格や物価高騰による影響を受けている中小企業を手厚く支援するものです。こちらは多くの企業が該当すると考えられ、新たな取り組みを考える事業者様にとっては、チャンスだと言えるでしょう。
ただし、本補助金は申請枠も多くそれぞれで要件が異なるため注意が必要です。
ということで今回は、事業再構築補助金の概要と申請枠について解説していきます
事業再構築補助金の概要
目的
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
主要申請要件
①売上が減っている
- 2020年4月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
②事業再構築に取り組む
- 事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
申請枠
事業再構築補助金には6つの申請枠があります。申請枠によって補助額・補助率および要件が異なるので、事業計画や投資規模、従業員数などによって選択し申請してください。申請枠の選択は、採択率や補助金額に大きな影響を与えるため、各枠の要件をしっかり理解し選択することが重要です。
①通常枠
②大規模賃金引上げ枠
③回復・再生応援枠
④最低賃金枠
⑤グリーン成長枠
⑥原油価格・物価高騰等緊急対策枠
補助額・補助率
各申請枠の補助額・補助率は以下の通りです。
通常枠
大規模賃金引上げ枠
回復再生・応援枠
最低賃金引上げ枠
グリーン成長枠
原油価格・物価高騰等緊急対策枠
類型
以下の5つのうちいずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定する必要があります。
①新分野展開 → 新たな製品等で新たな市場に進出する
②事業転換 → 主な「事業」を転換する
③業種転換 → 主な「業種」を転換する
④業態転換 → 製造方法等を転換する
⑤事業再編 → 事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行う
申請枠ごとの要件
申請枠によって要件が異なりますので、注意が必要です。
通常枠
①売上が減っている
- 2020年4月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
②事業再構築に取り組む
- 事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。
③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
大規模賃金引上げ枠
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等を対象とした「大規模賃金引上枠」により、最大1億円まで支援します。
「大規模賃金引上枠」で不採用となったとしても、「通常枠」で審査します。
回復再生応援枠
引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等を対象として「回復・再生応援枠」を設け、補助率を引き上げます。「回復・再生応援枠」では、事業再構築指針の要件について、主要な設備の変更を求めません。
「回復・再生応援枠」で不採択となったとしても、加点の上、「通常枠」で再審査します。
最低賃金引上げ枠
最低賃金の引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等を対象とした「最低賃金枠」を設け、補助率を引き上げます。
「最低賃金枠」は、加点措置を行い、回復・再生応援枠に比べて採択率において優遇されます。「最低賃金枠」に申請されて、不採択となった事業者については、通常枠で再審査いたします。
グリーン成長枠
グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す中小企業等を対象に、「グリーン成長枠」を設け、補助上限額を最大1.5 億円まで引き上げます。
「グリーン成長枠」では、売上高10 %減少要件を課しません。
「グリーン成長枠」で不採択となった際に通常枠での再審査を希望される事業者につきましては、売上高等減少要件を満たすことを示す書類を提出いただく必要があります。
事業再構築補助金では、1事業者につき支援を受けることが出来る回数は1回に限られますが、グリーン成長枠については、特例的に、過去支援を受けたことがある事業者も再度申請することを可能とし、採択された場合には支援を受けることが出来ることとします。
但し、支援を受けることができる回数は2回を上限とします。
【新設枠】原油価格・物価高騰等緊急対策枠
コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に基づき、原油価格・物価価格高騰等の予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている事業者を対象に、「緊急対策枠」を設けます。
対象経費
- 建物費
- 機械装置費
- システム構築費(リース料を含む)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
上記の通り幅広く利用できます。
なかでも建物の改修費が対象になるのは珍しく店舗改装などをお考えの方は是非ご検討ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は特に申請枠について詳しく記載しました。申請枠の選択は、補助金額・補助率はもちろん、その採択率にも大きな影響を与えます。
事業規模や従業員数・要件などに応じて最適な申請枠を選択し申請しましょう。
ご相談は初回無料ですので、認定支援機関である弊社にご相談ください。